相続・遺産分割問題のポイント

被相続人に有効な遺言があれば、原則としてその通りに遺産を分ける必要があり、遺産分割の問題は生じません(但し、遺留分の問題は生じ得ます)。

遺言がない場合は、相続人の間で遺産分割協議(話し合い)を行うことになり、話し合いでまとまれば、遺産分割協議書を作成し、その内容に応じて遺産の帰属先が決まります。遺産分割協議書により、不動産の登記名義の変更等も可能になります。

話し合いがまとまらなければ、相続人が他の相続人を相手方として、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、その手続の中で、裁判官や調停委員の意見を聞きながら話し合いを続けることになります。調停でもまとまらない場合には、審判手続に移行し、最終的に裁判官が決めることになります。

具体的事例

(事例1)
子供のうち、世話になった長女に可能な限り多くの財産を相続させたいのですが、どのような方法をとればよいですか。

(1)遺言

自分が亡くなった場合の財産の分け方を予め指定しておくには、遺言が有効な手段となります。

遺言の方式としては、前述した自筆証書遺言では、形式が厳格に定められておりこれに万が一反すると遺言自体が無効になるおそれがあること、保管の方法によっては、関係者に改ざんされたり、逆に死後に発見してもらえないおそれも生ずることなどから、公正証書遺言という方式をお勧めします。公正証書遺言とは、公正証書(公的な文書)として公証人に作成してもらう遺言で、若干の費用がかかるものの、遺言の原本を公証役場で保管してもらえるため、紛失や改ざんのおそれはなく安全です。

また、遺言はいつでも撤回できますので、自分が死亡するまでに気が変われば、何度でも撤回して書き直すことができます。

(2)遺留分の問題

以上のように、相続人のうち一部の者に財産を相続させるには遺言が有効ですが、事例1で述べたとおり、遺留分の問題は避けられません。もちろん、長女以外の相続人が遺言に納得し、遺言通り長女に全ての財産を相続させることに異議を唱えなければ問題はないのですが、遺留分とは遺言でも奪うことができない最低限度の取り分ですので、仮に子供が3人いる(配偶者なし)として、長女以外の子供が遺言に納得せず、遺留分を主張すれば、最低限遺産の6分の1は確保できるということになります。遺産(死亡時の財産)の範囲を縮小するために、生前から長女に予め財産を贈与しておくことも考えられますが、遺留分の基礎となる財産の範囲を定めるにあたっては、死亡前1年以内の贈与はすべて、1年以前のものでも当事者双方が遺留分権利者(他の兄弟)に損害を与えることを知ってなした贈与はすべて戻されてしまうので、根本的な解決にはなりません。

(3)推定相続人の廃除

長女以外の兄弟が遺言に納得せず、あくまでも遺留分を主張してきたら、これを奪うことはできませんが、例外的に、長女以外の兄弟に被相続人(親)に対する虐待・重大な侮辱・その他著しい非行があったような場合には、家庭裁判所に相続人から廃除することを請求することができます(遺言でもできます)。これが認められると、一定の相続人の遺留分を奪うことができますが、好き嫌いのみの理由で廃除請求することはできず、あくまでも虐待などの法定の事由がある場合に限られます。

箕輪法律事務所では、豊富な経験をもとに依頼人の立場にたって法的に保証された権利を最大限に確保いたします。法律の専門家である私たちにご遠慮なくご相談ください。

 

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※ 関連判例  最判S51年3月18日
   特別受益の評価基準時(相続開始時の時価)
  【裁判所ウェブサイトへのリンク(PDF)】

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