相続・遺産分割問題のポイント

被相続人に有効な遺言があれば、原則としてその通りに遺産を分ける必要があり、遺産分割の問題は生じません(但し、遺留分の問題は生じ得ます)。

遺言がない場合は、相続人の間で遺産分割協議(話し合い)を行うことになり、話し合いでまとまれば、遺産分割協議書を作成し、その内容に応じて遺産の帰属先が決まります。遺産分割協議書により、不動産の登記名義の変更等も可能になります。

話し合いがまとまらなければ、相続人が他の相続人を相手方として、家庭裁判所に遺産分割調停を申立て、その手続の中で、裁判官や調停委員の意見を聞きながら話し合いを続けることになります。調停でもまとまらない場合には、審判手続に移行し、最終的に裁判官が決めることになります。

具体的事例

(事例5)
 相続人間で、なかなか遺産分割協議がまとまらないまま、相続税の納付期限が迫っています。各相続人には手持ちの資金がなく、相続財産から納税するしかないのですが、どうすればよいですか。

 一定以上の遺産がある場合、相続人全員に連帯して相続税の納税義務が発生し、相続開始から10か月以内に相続税を納付できないと、少なくない延滞金が発生してしまいます。
 遺産の中にある程度の預貯金がある場合、これを払い戻して相続税の支払いに充てられるとよいのですが、相続人全員の同意がなければ金融機関は払戻に応じないため、遺産分割協議で対立していると事実上全員の同意書の取付は難しく、納税できないという事態が生じます。

 相続税の納付義務は相続人の連帯責任であり、その限度では相続人間で利害が一致していることから、相続人間で話し合い、可能な限り、相続税の納付期限までに遺産分割協議を成立させることが望ましいといえます。
 また、配偶者控除や、不動産評価に関する小規模宅地の特例などの相続税の軽減措置も、申告時までに遺産分割協議が調っていないと適用されません(後に協議が調った場合に、一定期間内に更正手続をとると還付を受けることはできますが、納付期限までに協議が調っていないと、ひとまずは控除前の金額を納めなければならず、相続人に手持ち資金がない場合には、やはり問題が生じます)。
 それでも相続人間の対立が激しく、納付期限までに遺産分割協議が成立しないという場合には、相続税を納付できず、延滞金が発生することもやむを得ませんが、相続人間で、延滞金の発生を避けるために、遺産分割協議とは別に、ひとまず相続税の納付のために預貯金の一部を払い戻すことに同意し、後に遺産分割協議が調って清算関係が生じた場合には必要な清算を行うという内容の合意書を交わしておくことを検討してもよいでしょう。

※ 相続税に関連する注意点・問題点

平成27年1月1日施行された税法により基礎控除額が変更になりました。

1 納付期限
  相続が開始したことを知った日の翌日から10か月以内

2 基礎控除額
 3000万円+600万円×法定相続人の数
 法定相続人が3名の場合、遺産の総額のうち4800万円を超える部分について課税されます。

3 配偶者控除(相続税法第19条の2)
被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した遺産額が、配偶者の法定相続分に相当する額までは相続税がかからず、それを超える場合であっても1億6千万円までは相続税はかからないという制度です。(例えば、相続財産が10億円で法定相続人が配偶者と子1人の場合、配偶者が5億の財産を相続した場合であっても配偶者には相続税はかかりません。また、同様のケースにおいて相続財産が1億円であった場合に配偶者が8000万円の財産を相続した場合も、配偶者には相続税はかかりません。)
相続税の申告期限までに遺産分割がなされていない財産については、控除の対象にはなりません。但し、相続税の申告期限から3年以内に遺産分割がなされた場合には、更正手続をとることで当該制度の適用を受けることができます。

4  小規模宅地の特例(租税特別措置法第69条の4)
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等(被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族)の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。
  
(1) 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等について
小規模宅地の特例の適用を受けるための要件は宅地の取得者ごとに定められており、詳細は以下の通りです。同特例の適用を受けられる限度面積は一律330平方メートルであり、減額される割合は80%となっています。

@ 宅地等が被相続人の居住の用に供されていた場合
ア 被相続人の配偶者 
取得者ごとの要件はありません。
イ 被相続人と同居していた親族 
相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで所有していることが必要です。
ウ 被相続人と同居していない親族
以下の(a)から(e)までの要件を全て充たすことが必要となります。
 (a)被相続人に配偶者がいないこと。
 (b)被相続人に相続開始の直前において被相続人と同居していた他の相続資格のある親族がいないこと。
 (c)相続開始前3年以内に日本国内にある自己または自己の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと。
 (d)その宅地等を相続税の申告期限まで所有していること。
 (e)相続開始の時に日本国内に住所を有していること、又は、日本国籍を有していること。

A 宅地等が被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた場合
ア 被相続人の配偶者 
取得者ごとの要件はありません。 
イ 被相続人と生計を一にしていた親族
  相続開始の直前から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで所有していることが必要です。

※ なお、平成22年度の税制改正前には相続人等が相続税の申告期限まで事業または居住を継続しない宅地等についても200平方メートルまで50%の税額軽減措置を受けることができましたが、同改正により当該措置が廃止されたことにより、老人ホームへの入所により空き家となっていた場合の相続については一定の要件を充たす場合を除き軽減措置の対象外とされました。また、従来は配偶者が一部でも宅地を相続すれば残りを全て別居の子供が相続しても80%の減額を受けられましたが、相続人ごとに適用の可否が判断されることになり、別居の子の取得分については減額措置が受けられないことになりました。
 しかし、平成25年度の税法改正により、小規模宅地等評価減の特例の内容が見直され、平成27年1月1日以降の相続等から、特例の適用対象面積が330平方メートルに拡充される、特定事業用宅地等、特定居住用宅地等それぞれの適用対象面積が完全に併用が可能となる、等の改正がなされることになりました。
 また、平成26年1月1日以降の相続等から二世帯住宅において特例を適用する際の要件であった構造上の要件の撤廃、老人ホーム入所により空き家となっていた自宅への適用要件が緩和され、被相続人が終身利用権を取得した場合でも、被相続人に介護が必要なため老人ホームに入所したこと、自宅が貸付け等の用途に供されていないことという要件を充たす場合には、「同居」の要件を充たすものとして特例の適用対象とされることとなりました。
  
(2) 被相続人等の事業の用に供されていた宅地等についても、一定の要件のもとで400平方メートルの限度で80%の税額軽減措置をうけることまたは200平方メートルの限度で50%の税制上の減額措置を受けられるようになっています。

5 生命保険金の扱いについて
相続人が受取人となっている生命保険金は、固有の財産として被相続人の遺産には含まれませんが、相続税との関係では、一定の割合につき課税対象となります。(500万円に法定相続人の数を乗じた額が非課税限度額とされています。)

箕輪法律事務所では、豊富な経験をもとに依頼人の立場にたって法的に保証された権利を最大限に確保いたします。法律の専門家である私たちにご遠慮なくご相談ください。

 

弁護士報酬について
● 遺産分割調停
内容  
着手金 30万円以上
成功報酬 経済的利益の5〜15%の範囲内で頂戴いたします。比率については、ご相談の上決定させていただきます。
● 遺言書作成
内容  
遺言書作成 15万円

お問い合わせ法律相談

問い合わせ

法律相談
24時間受付中!
お気軽にご相談ください。

弁護士紹介

事務所アクセス

■所在地

〒105-0001
東京都港区虎ノ門5丁目1番4号
東都ビル6階

tel03-3578-1837(代)fax03-3578-1839

【受付時間】
平日(9:30〜17:30)

■最寄駅

日比谷線「神谷町」駅
  4a出口より、徒歩2分

銀座線「虎ノ門」駅
  2出口より、徒歩8分

■アクセスマップ

マップ

拡大して表示する