労働問題:成果主義賃金(人事)制度への変更後、従業員から給料の支払等を求める訴訟が提起されたが、裁判上の和解が成立した事例
2020.11.20解決事例
相談前
数年前に成果主義賃金制度を導入しましたが、制度の導入によって給料が減少した従業員から、成果主義賃金制度の導入は違法であり、制度の導入前の給料と導入後現在までに支払われた給料の差額等を請求する訴訟が提起されました。
相談後
従業員は成果主義賃金制度を導入した時点では、積極的にこれに反対しておらず、制度の運用自体も人事評価表に基づいて適正に行われていたため、制度の導入は有効である旨主張したところ、当該従業員との間で成果主義賃金制度の導入は有効であることを前提とした和解が成立しました。
弁護士からのコメント
成果主義賃金制度の導入に際しては、既存の賃金制度を変更することになりますので、就業規則を変更する必要があります。従業員の立場からすると、新たな賃金制度の導入は自身の給料及び退職金に係わるものであり、会社は、従業員の理解が得られるよう制度の内容、運用等を慎重に検討する必要があります。
この事例の会社は、従業員から訴訟提起されましたが、成果主義賃金制度を導入する際、全従業員に対して、成果主義制度の内容を十分に説明しており、その運用も従業員間で公平に行われていたため、当該従業員との間で和解を成立させることが出来ました。
労働問題に関しては、事実の主張だけではなく、その証明が可能か否かという観点からも十分な検討が必要であり、この事例のように、数年前に導入した制度の有効性が争われるケースもありますので、新たな制度の導入に際しては、残しておくべき記録や資料の点も含めて弁護士と協議をすることが重要であると思います。