箕輪法律事務所

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解決事例

遺産相続:【依頼者:子】【遺産分割】遺産分割調停手続き中に当事者の一人から、依頼者である被相続人の孫と被相続人との間の養子縁組の無効確認を求める裁判を起こされた事例


2020.11.19解決事例

相談前

被相続人である父親は、事業を興し、堅実な経営を行って亡くなった時には10億を超える資産を残しました。4人の子供達には十分な教育を受けさせ、子供達も父親の期待に応えてそれぞれ一流の大学を出て社会人になりました。

父親が、健在の時は家業を継いだ長男、銀行に勤める次男、歯科医師と結婚した長女、そして、勤務医と結婚した次女の4人は、盆暮れにはそれぞれの家族を伴って実家に集まる仲のいい兄弟でした。

父親は、70台の前半で現役の社長でしたが、癌になって発見から半年で死亡しました。故人は相続のことも考えており、将来の会社の承継者として長男の上の男の子を亡くなる3ヶ月前に養子に入れましたが、遺言書の作成はありませんでした。

会社の顧問税理士が、相続税の申告手続きの関係で分割方法の相談を受け、遺産分割協議の調整を試みましたが、長男が家業の継続のために法定相続分を上回る取り分に与る分割案を提示したところ、次女が反対をして分割協議が暗礁に乗り上げてしまいました。

相談後

長男の依頼を受け、他の兄弟に遺産分割協議の申し入れをしましたが、話し合いに応じる様子が全くなかったため、家庭裁判所に調停を申立ました。

調停手続きにおいては、故人の残した設備投資関連の数億円の借り入れは、全て長男が承継することを条件に会社の事務所や工場などの資産は長男が相続し、相手方の三人の兄弟は30筆ほどある不動産と約4億円の金融資産を法定相続分で分けるという分割案を提示しましたが、次女は全ての相続財産の法定相続を求めており、数回期日をかさねましたが話し合いの進展はありませんでした。

次女は、被相続人とその孫の養子縁組のことを知らされていなかったことに感情的になっており、自分の法定相続分が減ったことも原因していたと思われますが、突如養子縁組の無効確認の裁判を提起しました。

調停手続きは、相続人の範囲が争点として加わったため、そのままでは進行しないことからやむを得ず一旦取り下げることになりました。

養子縁組無効確認の裁判は、一審で養子縁組有効の判断が示され、次女が控訴しましたが、高等裁判所の判断も同様でした。この間、一審、控訴審とも、具体的な遺産分割の内容を盛り込んだ和解を試みましたが不調に終わりました。

養子縁組の有効が確定した段階で再度遺産分割調停を申し立てすることになりました。

その後、何回か期日を重ね、ほぼ当方の主張が反映された遺産分割協議が成立し、家業を継いだ長男とその息子が会社資産を相続することになりました。

弁護士からのコメント

被相続人の債務は、遺産分割調停や審判手続きの中の積極財産の評価においては、考慮されないのが原則ですが、親の借り入れを誰が支払うかは、法定相続人全員が大きな利害を持つことなので、債務を承継する相続人に関してはその取得財産の評価から債務額を差し引くことを了解するよう、知恵を尽くして他の相続人に働きかけることが重要です。

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