相続・遺産分割問題のポイント
相続時の紛争を予防し、あなたの意思に基づく財産の分配を行うための方法として、後述する生前贈与、遺言(自分が死亡した後に備えて、財産・身分等に関する事項について遺言者の最終的な意思を表したもの)があげられます。
これらの方法を用いることには、相続人でない方にも遺産を渡すことができる、相続手続きの費用が少なく、手続きも簡単で早く済む、というメリットもあります。
また、生前贈与や遺言によって、あなたが営む事業を後継者に円滑に承継させることも可能となります。
生前贈与
生前贈与を行う際に気をつけなくてはならない点としては、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分(相続人のために残さなくてはならない割合)があり、生前贈与によって遺留分が侵害される場合には、その相続人から遺留分相当の財産を請求される可能性がある(遺留分侵害額請求といいます)という点です。
遺留分侵害額請求の対象となる生前贈与は、
1)相続開始前の1年間にしたもの(民法1030条1項前段)
2)当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたもの(1030条後段)
3)(贈与の時期を問わず)婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として受けた贈与(1044条で準用する903条1項)
です。
例えば、全財産を、生前贈与により相続人の一人に与えた場合には、その他の相続人の遺留分を侵害する事は明らかといえるため、その他の相続人から後に遺留分侵害額請求が行われた場合には、その者の遺留分に応じて、財産を返還しなければならないことになります。
また、不動産について生前贈与を行う場合には必ず名義書換えの手続まで完了しておく必要があります。
口頭で贈与すると言っていても登記名義が被相続人の名義のままであれば、他の相続人から遺産であるとして相続権を主張され、無用な紛争に発展してしまう危険があるからです。
遺言書
遺言書には遺言を行う者が自筆で遺言書を作成するものと、公証人に作成してもらうものとがあります。
公正証書遺言作成にかかる手数料は、遺産の額、相続人・受遺者の人数により決まり、当該手数料に、遺言加算手数料(遺贈額合計が1億円に満たないときは、1万1,000円が加算される)、用紙代1通250円を加えた額を負担する必要がありますが、自筆証書遺言は、決められた形式に反していること等を理由にその有効性が争われる場合が少なくないため、紛争防止の観点からは、厳格な手続が踏まれ、後に有効性が争われることのほとんどない公正証書遺言の利用が推奨されます。
また、遺言書を作成する場合には、遺言の内容がきちんと実行されるために、遺言の内容として、遺言執行者を決めておくべきです。
遺言執行者を指名していない場合、遺言者死亡後に、利害関係人からの請求を受けて家庭裁判所が決定(民法1010条)しますが、遺言において遺言者を決めておけば、その者が直ちに遺言執行を行うことが可能となりますので、処理が簡単です。
遺言書を作成する場合にも、1で述べた遺留分の問題が生じるため、この点への留意も必要となります。
事業承継
経営している会社をスムーズに後継者に引き継がせたいという場合、何らの対策もしていないと、遺産は相続人に法定相続分に応じて承継されてしまい、会社の株式は準共有の状態におかれるため、後継者が社長に就任し、会社を経営していくことが困難となる場合があります。
そのような状況を防ぐための手段として、今までみてきた生前贈与、遺言による解決が考えられます。
まず、あらかじめ後継者に対して、会社の株式・事業用の財産を贈与しておくという方法が考えられますが、その場合には、贈与税を納めねばならない場合がある、遺留分の問題が生じる等の留意すべき点がありますが、迅速に後継者に対して承継を行い、既成事実を作ることができる点で優れた対策といえます。
なお、近時施行された経営承継円滑化法では一定の要件のもと、株式の生前贈与について、遺留分の対象から排除できるものとされています。
次に、後継者に対して会社の株式・事業用財産を全て相続させるという内容の遺言を作成するという方法が考えられます。
この方法をとる場合、遺留分の問題が発生することから、株式・事業用財産以外の不動産や預貯金等の財産を後継者以外の子に相続させる旨定める等、後継者以外の相続人からの不満を生じさせないための方策を講じておく必要があります。
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